sleepy princess and arouse prince
思わず笑みにつられ、俺も笑っていた。
とりあえず森の奥へ進むことにし、険しい地を歩き続けた。

時間が経過していくにつれ、森中に独特の匂いが漂った。
よく鼻を使うと血生臭く気分が悪くなった。

「大丈夫か?」

「あ、あぁ。少し血の匂いが…。」

「血?もしかして‥」

エルビスは上の方を指差した。
そこには木々があり、身分の低い者が吊られていた。
俺は声にならないくらいの悲鳴をあげた。
初めて見たことに動揺する自分が情けない。
がくんっと崩れる俺を見て、エルビスは体を支えてくれた。

「身分の低い奴から貴族まで…気を抜くなよ。」

と、言われその木々をエルビスに引っ張られながら抜ける。
上から血が垂れてきて服を汚す。
だがしかし、いきなりエルビスの足が止まり、危うく転びそうになった。

「ここからは通さない。」

「なっ!?」

エルビスの前に立っていたのは、蜘蛛のような糸を指先から操っている女性だった。
どうやらこの女性が人々をつったのだろう。
俺は自然と白梅に手が伸びる。
しかし、エルビスは一歩たりとも動かない。
肩を揺さぶっても反応しない。

「…逃げろ。」

エルビスの警告と剣の交わる音が響いた。
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