sleepy princess and arouse prince

森の箱船に乗せて


知っている小屋の近くの森。
ただ歩く度、深く深くなり続ける。
おかしい。
一歩踏み出しても白雪に近付けなかった。

「リュウ、顔色悪いよ?」

「え‥あ、あぁ。」

皆、息を荒くしながら行く宛のない森を歩き続けていた。
不思議に思ったのか、さっきより悪くなる顔色を気にするエルビス。
俺はそんなことも気にしていたかった。
軽く返事をして、辺りを見回す。
暗くて、酸素が少なくって‥何より不安が溢れてくる。

それでもアルルシスは女性でありながら、前を進む。
そんな姿を見ると負けてはいられない。
自力で彼女についていった。

「アルルシス、どうした?」

いきなりぴたっと足を止めた彼女。
不審に思った俺はすぐに声を掛ける。
すると、アルルシスは指から蜘蛛の糸を出した。

「下がって。」

彼女は戦闘態勢に入り、辺りを警戒した。
思わず生唾を飲み込む。
しーんっとして俺は何も感じなかった。
それはエルビスも同じだった。

やがて、何か獲物を捕らえたのか、アルルシスの指先が踊る。
その姿を眺めては白梅に手を伸ばした。
ある一本の糸を勢いよく引っ張った。
すると、
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