sleepy princess and arouse prince
そして水色の紋章が浮かび、呪文を唱えた。
あっという間に釘はガラスから抜け、地面に落ちた。

「釘は私に任せて下さい。それより白雪姫を。」

「カイト…有難う。」

全て釘が抜けると蓋を丁寧に動かした。
その姿、美しかった。
白い肌が輝いていて、赤い唇が色を保っている。

だが、エルビスは口付けでも無駄だった為か棺桶から白雪姫を出そうと言った。
無謀すぎる。
一応、口付けをしてみる価値もある。俺は棺桶に身を乗り出した。

「リュウ?お前…」

「やってみなくちゃ分からないだろ?」

そう一言を残し、人生初の口付けをした。
白雪姫から唇を離すと不思議なことに、強い光が襲ってきて俺は地面に尻餅をついた。

「白雪姫が目覚めた…」

カイトが今までにもない顔で口を開いた。
そこにはあの白雪姫が立っていた。

だが、白雪姫は開いた瞳を再び閉じ、前に向かって倒れそうになった。
しやがみこんだ体が動き、白雪姫は俺の胸の中で眠り始めてしまった。

「白雪‥?」

「リュウ、大丈夫ですよ。気絶しているだけですから。それより早く此処を出ましょう。」

不安になった俺を見ていったのか、カイトは移動を求めた。
白雪は気絶している。
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