sleepy princess and arouse prince
そうだ、俺達は病院にいた。
治療を行う準備中の合間に、ナースコールを片手に握り締めて二人を見守った。

手袋を外し、細い彼女の右足に翳す。
呪文を唱えると、紋章ではなく光が放った。

「…さすがに私でも無理みたいですね。毒が抜けない。」

「そんな…!」

カイトは焦りを見せながら、使える治療術を全て使った。
魔女の魔術は解けたが、体内に入り込んだ毒が深すぎた。
それを見て、俺はボタンを押した。

すると、廊下から足音が聞こえ、医者がドアを開けた。

「どうしました…!?」

「リュウ、何したんですか?」

「え‥いや、なんかあったら大変だし!」

若い金色の短髪の医者(男性)が、かしずくカイトを見て驚いていた。
アルルシスも医者を見て驚いている。
どう考えても俺しか呼べないだろう。
カイトはそう予測して俺を睨む。

すると、カイトはアルルシスから手を離し、右手に手袋をした。
とりあえず彼は、少し頼りなさそうな医者に説明をし始めた。

「何!?早く処置しなければ彼女も大変なことになるぞ。」

「えぇ。ですから彼女を救ってあげて下さい。何かありましたら此処にいますので。」

と、医者は看護師たちにアルルシスを運ばした。
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