sleepy princess and arouse prince
先にエルビスの刃が、俺の左足に傷を付ける。
一発が重い、それに深い。

「白梅、どっちが白雪を護れるか‥試してやる。」

そう言ってエルビスは休む間もなく攻撃を開始する。
ったく、闘いに性格が現れていた。
冷静さを取り戻し、彼の一振りを避け、隙を見つけた。

「お前は強いさ…。一体、何があったんだよ?」

エルビスの右手首を握り、攻撃させないようにした。
力を入れている右手が徐々に緩む。
いつしか地面に白梅が落ちた。

「‥てめぇには分からねぇよ、一生。」

と、握り締めていた左手を払われた。
エルビスは地面に落ちた白梅を拾う。
また、戦いが始まるのか。そう思って力を込める。

だが、予想は外れた。
彼は白梅を鞘に収めているではないか。
そしてその場を去っていった。

一体、何だったんだ?
赤い血を垂らしながら、俺は病院に戻った。

「あれほど安静にしていなさいと言ったはずだが?」

「し、しまった‥!!」

戻ると、玄関口であの若い医者が立っていた。
俺は逃げるように自分の部屋に近い窓に向かって走った。
待て!っとか言って追いかけてきやがった。
前を向かず走っていたら小石に躓いて転んだ。
余計に左足が痛い。
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