sleepy princess and arouse prince
そのせいで医者にあっさり捕まり、そのまま診察室へ運ばれた。

「ったく、傷口増やすなよ。」

ただでさえ右肩に負担があるし、次は歩けなくなるぞ。っと脅された。
治療が済み、俺は礼を言って部屋へ戻った。

だが、集中治療室という部屋の前を通った。
俺は部屋に戻らず立ち寄ったのだ。

「・・・・」

白雪が眠る場所にはカイトが立っていた。
淋しげな表情が目に止まる。
俺は白雪とカイトに声を掛けないまま、部屋から出て行った。

話しかけにくいから逃げた。情けない。
俺はいつの間にか走り出していた。
清潔な廊下に足音が響く。
いつしか中庭に着いていた。

広々としていて、懐かしかった。
何故か白梅を鞘から抜き、太刀をし始める。
よくやっていたな。
型を決めては舞う。今回は一段と焦りが出ている気がした。

終わると周りにはギャラリーが集まっていた。
無数の拍手。恥ずかしくなってくる。
上を見上げれば太陽が顔を出していた。
今は昼間なのだろう。
俺は白梅を鞘に収め、ギャラリーにお辞儀をした。

「ミズミネ!良いところに居たな。」

部屋に戻るため、廊下を歩いていると若いあの医者が声を掛けてきた。
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