sleepy princess and arouse prince
正直、驚いた。
毎回会う度、追い掛けられるから。
彼が俺を怒鳴らないんて異常だ。

話があるんだ。と、言われ病院内にある喫茶店に移動した。

「いきなりすまんな。まぁ飲め。」

彼は足を組みながらコーヒーを差し出してきた。
子供扱いしてくれないのは嬉しいが、飲めない。
俺ははぁ、と情けない返事をしていた。
本題に入る前、ある一枚の紙を差し出してきた。

「これは彼女のデータだ。」

資料を見ると、白雪のだった。
彼女とか言うからアルルシスかと思ってしまった。
詳しく読むと状態は良い。
あの状態でいいんだ。そう思ってしまった。

「彼女は良くなっているからすぐに喋れるようになるぞ。」

と、言われた。
とっても嬉しかった。俺はお辞儀をして喫茶店を飛び出した。

紙じゃ駄目だ、急いで集中治療室に向かった。
けど、カイトが居るんじゃ…。
そう思うと足が止まってしまう。
大体、あんな話を喫茶店でしてくるなんておかしい。廊下で良かったんじゃないか?

「危ない‥!」

「えっ…」

声のする方へ振り向くと、目の前には器具が舞っていた。
え、ちょっ!俺は顔を庇うように腕で守った。

「だ、大丈夫ですか!?」

「あ、あぁ…」

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