sleepy princess and arouse prince
瞳を開くと、眼鏡を掛けた少女が俺に覆い被っていた。
まさかこの子が器具に!?
慌てて彼女を見た。
だが、血なんてない。むしろ笑顔だった。
すると、俺から退き、立ち上がった。
白衣に黒髪のお下げ。
一体、いくつなのだろうか?

「本当にすみません。わ、私…」

「いえ、助けて下さって有難う。」

なんて笑顔を振り撒く。
すると、彼女は固まってしまった。

「あの~‥大丈夫ですか?」

「あ、はい!!」

我を戻したのか、彼女は器具の入っていた籠を持って逃げるように去っていった。
俺も立ち上がり地面を見た。
傷跡もなく、器具何一つ落ちていなかった。
って、集中治療室行かないと。
俺は慌てて走った。

「白雪‥!!」

集中治療室に入ると、カイトの姿はなかった。
俺は白雪に声を掛けた。
振り向く彼女。どうやら意識もはっきりしているようだ。
嬉しくてたまらなかった。

「白雪‥」

「貴方は…?」

「龍。体調は平気かい‥!?」

ガラス越しから白雪に話し掛ける。
彼女は首を傾げながら口を開いた。
最初に聴いた声。医療って凄いな‥。
問い掛けに答えた俺に彼女は近づいて、ガラスに俺と同じ所に手を付けた。
緊張してしまう。
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