sleepy princess and arouse prince
何度もノックや声を掛けても返事が無いため、俺は慌ててドアを開いた。

「…その足」

俺が見たものは、両脚にくっきりと模様が浮かび上がっている、アルルシスの脚。
包帯が床に散らばっていて、彼女はそこに立っていた。

「出来なかったの、この模様を消すことは。」

「じゃあ、毒は‥?」

「大丈夫よ。医者が綺麗に抜いてくれた。」

俺に背を向けてアルルシスは口を開いた。
例え毒が白雪と同じだとしても、また新しい症状。
一体何が目的なんだ?王妃は。

「アルルシス、足こっちに向けて。」

「いいけど‥?」

彼女をベットに腰掛けさせて、模様の付いた足に触れた。
そして床に落ちる包帯で巻きなおした。
巻き終わる頃にドアからノック音が聞こえた。

「アルルシ‥」

ドアが開き、声が聞こえる。
振り向くとエルビスだった。
気まずい。かなり気まずい雰囲気になってる。

アルルシスは俺の表情を見て、慌ててエルビスに近付いた。
ふらつく姿を見て、エルビスは彼女を支える。
この間にでも俺は出て行こう、と思った。

「リュウ、いきなり刃向けてごめんな。」

通り過ぎる時、彼は口を開いて告げた。
そんな俺はばーか、と言って笑っていた。
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