sleepy princess and arouse prince

「貴方が城に戻っていれば‥ラサレナ様はこうならなかったの…」

泣き崩れるように白雪はアルルシスに言いつけた。
地面に座り込む白雪を見て、彼女はどう思うだろう。
心配していた、帰ってきて欲しがった。
白雪はそう言いたかったはず。
しかし、アルルシスには違う捉え方をしてしまう。
ラサレナが変わったことに怒りを持っている姉、それを自分のせいだと感じていたのだ。

「お姉様なんかに分かるわけない…!」

「アルルシス‥!?」

彼女は悲しげな表情を浮かべ、走り去ってしまった。
追い掛けようとしたが、カイトが許さない。
ただ沈黙が訪れた。

「‥何か来る!!」

数分経ったのか、時間の遅さを感じた。
すると、さっきまで大人しいかった白雪がいきなり大声を出す。
後ろを振り返ると、殺気の強い‥

「白雪姫、お城に帰りましょう。」

王妃が立ち尽くしていた。

がくっと震える白雪は俺に近付いて助けを求めた。
カイトはアルルシスを迎えに行く、と言い残し走っていった。
エルビスは戸惑いを隠せないまま、白梅を鞘から引き抜いた。

荒れ果てた大地には黒い姫君が花を咲かしていた。

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