sleepy princess and arouse prince
ヴェルトはカナリアを下ろし、彼女の前で跪いた。
まるで儀式のように胸に手を当て、呪文を呟くヴェルト。
それを早くしないか、と言わんばかり王妃が眺めていた。

今のうちに白雪を。
そう思って白梅で王妃の白色で細い腕を殴った。

「白雪、早く!!」

痛みの反射で王妃の腕が緩んだ瞬間、白雪を解放した。
地面は荒れていて、白雪はどうやら靴に慣れていなくて転んでしまった。

早く立ち上がろうとしたが、足を挫いてパニック状態。
慌ててエルビスが白雪に近付いたが、立ち止まるエルビスがいた。

「エルビス‥!!」

「お嬢様の得意分野です。存分にお楽しみ下さい」

目を向けると、エルビスの体中にあちこち透明な糸が侵入している。
それは俺がされた技と同じで、発動しているのはカナリア嬢。
蜘蛛師じゃないのに。
俺は恐怖心を抱き、白雪を引っ張ってさっきカイトが見えた方へ走った。

此処で会わないと。
俺の力じゃどうにもならないんだよ。
白雪を握る手が不安を彼女に伝えていた。
すると、木々からカイト達が現れた。
ひと安心をしたのか鼓動が落ち着く。

「あらカイトじゃない?相変わらずいい男ね」

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