sleepy princess and arouse prince
王妃はカイトの存在に気づき、近付いた。
普段、閉じているような目が開き、赤い瞳が王妃を睨む。
まさかカイトと王妃が知り合いだなんて初耳だ。
カイトと王妃の間に強力な殺気が放たれていた。

すると、いきなり咳き込む白雪。
首にぶら下がるクアフェリネを握り締め、苦しそうに俯いた。

「お姉様!!」

「あらあら、白雪姫。もうおしまいかしら?」

アルルシスは尽かさず白雪を支え、声を掛けた。
だが、苦しむ一方。
王妃から出た言葉は、毒のことを言っているように聞こえた。
まだ薬が効いていない、治っていないなんて‥。
しかし、彼女は健康な筈。
俺は苦しむ白雪の右手を掴んだ。

そこには針のような物で刺された跡があった。
やられた。悔しさのあまり、地面を思いっきり殴った。
何の意味なんてないのに。

「ヴェルト、カナリア、やっておしまい。」

王妃の合図と共に、操られたエルビスとヴェルトが襲いかかった。
カイトは素早く王妃の方に走り、俺はヴェルトを。アルルシスは白雪を治療に取り掛かっていた。

「お姉様、頑張って!」

「‥アルル、有難う」

彼女は刺した跡から治療術をかけた。
限界が近い為、上手く行かない。

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