sleepy princess and arouse prince

黒い鏡と白い人形


苦戦なんかしてない。順調だったんだ。
あの王妃に何かされてから流れは変わった。
もっと注意してれば、
白雪姫は浚われなかった。


「‥ウ、リュウ!!」

いつの間にか眠っていた。
エルビスが心配そうに俺を覗き込む。
ぼーっとしたまま起き上がり、辺りを見渡した。
王妃たちは居ない。
それにさっきまで荒れた大地にいた筈だが、森の中にいる。
一体、意識がない内に何があったのだろうか。

「やぁ。目覚めたかい、王子くん」

「‥ラサレナ!?」

堂々と目の前に現れた。
彼はまた煙草を吹かしていて、攻撃してくる。
そう思ってしまった俺は、ラサレナに刃を向けた。

「だ~め。安静にしてないと死んじゃうよ?」

「やめなさい、リュウ」

ラサレナは不気味な笑い方をしながら、俺から白梅を奪い取る。
すると、カイトが呆れたように口を挟む。
さっきとはまるで別人。かなり落ち着いていた。
俺は問いかけも出来ず、分かったと言ってしまった。

「おかげ様でクアフィリネが無くなっちゃたし、ね?」

「それは‥!」

「君のせいでもあるんだからね」

そう言って白梅を返してくれた。

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