sleepy princess and arouse prince
日は時間と共に沈み始めた。
俺達は歩き続けて、城を覆う森に辿り着いた。
丁度、日が沈み月が光りだした頃だった。
着く頃には俺はもう息切れをしていた。

「リュウ、さっきから息荒いぞ?」

「…平気、だよ。もう歳、かな?」

平気そうな様子を振る舞い、なんでもなかったように笑った。
だけど、鋭い感を持つカイトにはバレバレだった。

「無理しないで下さい、足手まといになるだけですよ。」

冷たさを感じる。
足手まといにはなりたくないさ、けど…
歩く度、体は悲鳴を上げていた。
すると、

パキンっ

「な、何!?」

何かガラスか鉄製の物が割れた音がした。
辺りを見渡しても何もない森の入り口。
敵かもしれない、俺は息を吐きながら白梅を抜いた。

「何これ…」

なんと、白梅の刃が粉々になっていたのだ。
信じられない、俺に見えるのは鍔と持ち手のみ。
鞘にぎっしりと刃だけが収まっている。

鍔と刃のつなぎ目から割れたのだろうか?
間抜け過ぎる。俺は腰から鞘を抜き、持ち手と共に地面に落とした。

「リュウ、何やってんだよ!?」

「邪魔だよ、それに‥俺には必要ない。」

エルビスが声を上げた。
俺は反発するように呟いた。
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