sleepy princess and arouse prince
ラサレナが握る白梅は鼓動に反応して、姿そのものを変える。
大剣で刃の周りを風が吹く。

「久々に触れるから手加減は出来ないけど、いいよね?」

彼は煙草を地面に落とした。
圧倒的にこれは有利だと感じた。

ラサレナは大剣を一振りし、ハイドとジキルを軽々吹き飛ばした。

「きゃあ!!!」

「ジキル!!リングコール!」

ハイドは吹っ飛ぶジキルの手を取り、両指に通る指輪を光らせた。
徐々に指輪は姿を爪のように変えた。

「何あれ‥」

「ホワイトプラムNo.4、消えろ」

光はシルバーの銃に変形し、ハイドは引き金を引いた。
銃声が鳴り響いた。辺りは煙で真っ白だ。

すると、カイトが小さな咳をした。
口元から溜まった血が溢れていた。

「カイト大丈夫か!?」

「ゴホッ‥ハァハァ…」

意識は戻ったがまだ、彼は薄く瞳を開けていた。
息は荒い。術では応急処置レベル。
俺はカイトの頭を撫でた。

「‥?」

「何も出来ないけど、俺はカイトを死なせないからな」

そう呟いてカイトたちから離れた。
エルビスが俺を止めに入るが、力ずくで前を進んだ。
白梅もない助けてくれる人もいない、無力な俺に何が出来るんだ?
どうして神は裏切る‥。

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