sleepy princess and arouse prince
「哀れな人よ、よく生きてられたな」
「‥ハァハァっ」
「ラサレナぁあ!!!」
煙が退くと、ハイドはジキルを抱えたまま銃を握る。
ラサレナは‥ボロボロだった。
それに気付いたアルルシスは彼の名を大声で叫んだ。
やはりエルビスに抑えられ、彼女は必死にラサレナに近付こうとした。
「早く起きてくれ、ジキル」
「‥有難う、ハイド」
「このままだとヤバいんじゃん?俺らも」
「……」
ジキルはハイドから離れ、同様に銃を握る。
弱音を吐く前に消去。
そんな二人が悲しく見えた。
俺は無力。
無力で役立たず。
もう白雪姫を助けられるかも分からない。
情けな断念って奴か‥。
踏み出したはずの脚が後ろに下がっていく。
「恐いんだぁ~、情けない男だな」
「!?」
後ろからカチャっと金属が動く音と、聞き覚えのある男の声。
反射的に前を動こうとするが、片腕を強く掴まれ、首筋には銃を突きつけられていた。
無論、相手はハイドだった。
「俺たち双子だからさ、指示なしで殺れるんだよねぇ」
「くっ…」
「ねぇ、こっちも向いて?」
ぐりぐりと、首筋に食い込む銃先。
そして目の前にはジキルの姿。