sleepy princess and arouse prince

「「ジ・エンド」」

二人は声を揃えて引き金を引く。
ただラサレナ同様、音だけが響いていた。

「リュウ!!!」

「あはははっ!!情けないねぇ、本当に」

狂ったようにハイドは笑う。
エルビスが呼ぶ声はかき消される。
こんな近距離で撃たれたら、誰だって生きてないだろう。
俺の場合、目の前が真っ暗なままだった。

「‥少年は?」

「ラサレナ!!貴方は自分を心配してよ‥」

「けど、少年の方が重傷だ」

ラサレナは自分がぼろぼろな筈なのに、変形した白梅でハイド達を振り払った。
そしてぐったりと横たわるリュウを担ぎ上げる。
一刻も早く治療をしなければ。
この戦いでみんな負傷をした。
リュウを私の前に寝させる。
出来る限りの術を施そうとしたが、徐々に威力が弱まっていた。

「‥おかしい」

「アルル?」

「全然血が止まらないよ!!!」

首筋に伝う血液は流れを止めない。
術が効いていない証拠。
私は役立たずで、治療しか出来ない。
‥師匠!

「退きなさい。私がします」

「し、師匠!!」

さっきまで倒れていた師匠が、私の横で術を唱えていた。
みるみる内に血液は止まり、リュウの顔色は良くなっていった。

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