sleepy princess and arouse prince
ぽたぽたっと、赤い液体が地面を汚す。
息が荒く、丸く座り込む。
そう、ジキルの弾丸は外れ、俺は峰打ちをした。
彼女には切り傷をさせてしまったからこれ以上、血液を流したら危ないことになるだろう。

倒れ掛けるジキルを受け止めたハイドは、自分の上着を脱ぎ、彼女の腹部に抑えつける。
俺はなんて最悪な奴なのだろう。
あらゆる感情が高ぶって手から白梅を落とした。

「‥ジキルを傷付けた奴、お前は許さない」

「リュウ!!」

同時に俺は座り込んでしまった。
すると、エルビスの声が聞こえ、ふいに上を向く。

金属製の冷たい銃。
髪を避けて地肌に伝わってくる。
あっさり頭は狙われていた。
一刻も早く、立ち上がらなければ。
ハイド本人は本気であった。

「ジキルと同じ痛み味わえよ‥!?」

「残念だけどそれは出来ない」

ハイドが引き金を引こうとした瞬間、一か八かで白梅を拾い、柄で腹部を刺した。
打撲ほどの威力だし、少しは緩むだろう。
だが、

「これぐらい何の苦痛もない!!」

「!?」

刺したはずの柄は、ハイドの手のひらのに握り締められていた。
そして襲い掛かる銃先。

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