【BL】それは磁石のように…
高校の入学式。
その日、俺は遅刻ギリギリで校舎に入った。
ヤバい……
入学初日から遅刻なんて…。
昨日早めに寝ておくんだった!
てか学校広すぎ……
体育館どこだよぉ……。
そろそろ式が始まる時間。
その証拠に生徒達の姿が見当たらない。
みんな体育館に移動したんだな。
本格的にヤバいよ……。
――ドンっ
と言う衝撃に体が後ろへ倒れた。
「……いったぁ~」
強打したお尻をさすりながら、前方を見ると同じ制服を着た生徒が一人立っていた。
「あ、ごめん。急いでて…」
生徒はジッと俺を見下ろしたまま何も言わなかった。
……?
なんだろ?
もしかして手でも差し伸べてくれるのかな?
そんな期待とは裏腹に、その生徒はそのまま立ち去ろうとした。