【BL】それは磁石のように…
「ちょ、ちょっと待って!あの体育館ってどこか分かる?」
生徒は答えることなく、歩き出してしまった。
冷たー……
人としてどうよ?
性格悪っ!!
「なぁ、俺の話聞いてる?」
立ち去る背中を追いかけるけど、返答はない。
「マジで困ってるんだよ。お願いします、体育館の場所教えてください!!」
「………うるさい」
人が頼んでるのに……
「あのさ、人が頼んでるのにその言い方はないだろ!」
俺は生徒の前に回り込んで詰め寄った。
「知らないなら知らないで、ちゃんと言ってくれれば――」
「…………着いたぞ」
生徒が視線で前を指す。
「え?」
「………体育館、来たかったんだろ?」
確かに大きな入り口の上には
“体育館”と書かれたプレートが掛けられている。
「あ、ありがとう…」
「………別に。俺も行くついでだっただけ。じゃあお先」
それだけ言うと中へ入ってしまった。
良い奴のかなのか、悪い奴なのか分かんねーなぁ…。
その後同じクラスになって名前を知った。
水沢 和希って――。