荒波は海賊を呼び寄せる
「……詰まらない。今日なんて、来なければよかったのに……」

持ってたブーケを海に投げ捨て、綺麗に纏められてた髪を解いた。

桟橋にぶつかる波で、ブーケは花になり、潮風に揺れる白いウェディングドレスは、幻影を生む。

「生きてたのか♪フワフワしてたから、幽霊かと思ったぜ」

「人を幽霊扱いするなんて、最低」

ルーンの反論に、唐突に話し掛けてきた男は笑顔で答え、距離を縮めていく。

「あんた、目が死んでるぞ?俺が攫ってやろうか?今より楽しめるって、保証するからよ♪」

「はぁ!?何、意味分かんない事いっ……て?」

言い切らないうちに、視界が暗くなり、身体が傾くのを感じたルーン。

彼女の意識は、そこで途切れた。
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