好きだと言えなくて
「春乃~!ごめんね!待った~?」
次の日、待ち合わせ場所に少し遅れて来た由紀ちゃんの隣には、彼氏の徹くん。
「え~っっ!徹くんいるじゃん!やっぱあたしお邪魔虫だ・・・」
そう言ったあたしに、由紀ちゃんが何やら意味深な笑顔。
その時、徹くんが、
「ごめん、ごめん!俺が由紀に俺らがいること黙っててって言ったんだ。」
ん?俺・・・ら・・・?
その時、徹くんの隣にいた男の子が、あたしの前にきて話しだした。
「俺、徹の友達の澤田直樹。前に由紀ちゃんと一緒にいた春乃ちゃんを見て・・・それから気になってたんだ。で、徹と由紀ちゃんに、春乃ちゃんと一緒に祭りに行けるように頼んだ。ごめんね。」
「あ・・・いや・・・」
なんだか急に恥ずかしくなったあたしがそう言うと、
「今日は一緒に楽しもう!」
と言った澤田くんはあたしの手を引っ張って、どんどん歩いて行く。
気づいたら、由紀ちゃんと徹くんはどこにもいなかった。