好きだと言えなくて
向こうから歩いてきた俊ちゃんは、誰か知らない女の子と歩いていた。
背の高い俊ちゃんと釣り合う、背の高い綺麗な女の子。
あたしとは正反対の女の子だった。
俊ちゃん・・・
あたしが俊ちゃんを見ていると、一瞬目が合った。
でも、俊ちゃんはその視線をすぐに逸らした。
そして、お互い気づかないふりをして、そのまますれ違ったあたし達。
俊ちゃん、あの子と付き合ってるのかな・・・
あたしとはデートしてくれなかったのにな・・・
あたしが一緒にお祭り来たかったのにな・・・
そう思って泣きそうなのを必死で堪えていたあたしを、澤田くんがじっと見ていたことに気づかなくて、あたしが気づいた時には、あたし達は神社の奥の方の人気のない所に来ていた。