好きだと言えなくて
「?!」
気づいたら、あたしは澤田くんに抱きしめられていた。
黙ってあたしを抱きしめる澤田くん。
そして頭の上から聞こえてきた声は、少し震えていた。
「さっきのやつ、春乃ちゃんの好きなやつ?」
「えっ?!」
「さっきすれ違った背の高いイケメンだよ。背の高い女連れてた・・・」
そこまで言った澤田くんの腕が、さらに強くあたしを抱きしめる。
「あんなやつ、やめとけよ・・・春乃ちゃんにあんな悲しい顔させるやつなんか・・・俺が、春乃ちゃんのこと笑顔にしてやるから・・・だから、春乃ちゃん、俺と付き合って・・・」
そしてあたしが俊ちゃんから聞いたことのない言葉を言ってくれた。
「春乃ちゃん・・・好きだよ・・・」