好きだと言えなくて
「あ~あ・・・行っちゃった!」
突然聞こえた姉貴の声。
「なんだよ!いたのかよ!黙ってるとか、趣味悪いな!」
「だって、声掛けれる雰囲気じゃなかったし・・・ってか、いいの?あの子、絶対勘違いしてるよ!」
「何が?」
「いや・・・あたしのこと、俊介の彼女だとか思ったんじゃないかなぁって・・・」
「は?んなことあるわけないだろ!」
「いやいや・・・だって、あたしの友達でも、あんたのこと彼氏だと思ってる子がいるんだよね~。あたし達って、お似合いみたいだよ(笑)」
とニヤニヤしながら言う姉貴。
そして、ちゃんと誤解は解いておきなさいと、偉そうに言ったんだ。
「さ、もう帰ろっか!面白いもん見れたことだし!」
姉貴にイライラした俺は、ひと言も話さず家に帰った。
俺の彼女が姉貴?ないない!
俺は春乃の涙が忘れられなくて、その日はほとんど寝れなかった。