好きだと言えなくて
そんな感じで毎日が過ぎていき、俊ちゃんとは廊下ですら会うこともなくて、いよいよ文化祭を明日に控えた日のこと。
「うわぁ・・・大雨だよ~。明日の文化祭大丈夫かなぁ・・・」
「ホントだ~。今日は早く帰ろうよ!」
今日は昼から大雨が降っていて、テンションが下がっちゃう・・・
明日の準備もすっかり済んで、早めに帰ろうとみんなで玄関に行くと、女の子が1人困った顔で外を眺めていた。
「どうしたの?」
そう声を掛けると、その子は振り向いて言った。
「傘、忘れちゃって・・・今日、塾あるのに・・・」
あ、確か教室に置き傘があったはず・・・
そう思ったあたしは、
「この傘、使って!あたし、置き傘あるから!」
そう言って、その子に傘を渡したあたし。
「ありがとう。」
「いいよ!みんなも、先に帰ってて~!」
そう言ったあたしは、教室へと走って戻った。