好きだと言えなくて
そういや春乃・・・少し遅くないか?
傘を取りに行ってるだけのはずなのに、しばらく経っても春乃は戻って来なかった。
そんな春乃が心配になった俺は、春乃を探しに教室へと様子を見に行った。
教室の前に行くと、困った顔の春乃がいた。
どうやら、置き傘がなくなっているらしい。
「これ、使えば?」
俺はいつかのように、春乃に傘を差し出した。
すると、春乃はかわいい顔で振り向いて、俺の名前を呼んだ。
そして、
「じゃ、じゃあ、一緒に帰ろう?」
と言ってくれた。
でも、春乃と何を話せばいいのかわからなかった俺は、
「あ、大丈夫だから・・・友達に入れてもらって帰るし・・・」
そう言って、春乃に傘を渡して、その場を後にしたんだ。