好きだと言えなくて

「離して・・・俊ちゃん・・・ダメだよ・・・彼女が勘違いしちゃう・・・」

そう言ったあたしに聞こえてきた彼女の声。

「ほら!俊介!だから言ったでしょ?誤解は解いておきなさいって!」

えっ?!誤解・・・?

そう思って俊ちゃんの顔を見上げたあたしに、俊ちゃんが言った。

「まさかと思ったけど、マジで勘違いしてたなんてな・・・春乃、あれ、姉貴だから・・・」

「えーっっ!!」

「そっ!あたしは俊介の姉の真央で~す♪春乃ちゃん、こんな素直じゃない弟だけど、よろしくね~♪ってわけで、あたし、彼氏のとこ行ってくるから~!今日お母さん達旅行でいないから、春乃ちゃん、俊介のことよろしくね!じゃあね!春乃ちゃん!」

「ひと言多いんだよ・・・早く行け!」

「あ~、そんなこと言っていいの~?あたしが春乃ちゃん連れてきてあげたんだからね!俊介があまりにも春乃ちゃんのこと寝言で呼んでるから。」

「うっせぇよ!マジで早く行けって!」

「はいは~い♪俊介、ちゃんと気持ち言うんだよ~♪」

そう言ったお姉さんは、手を振りながら行ってしまった。


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