好きだと言えなくて

「春乃、あれって・・・」

2人に気づいた由紀ちゃんが、あたしに言った。

「なんで高岸くん、黒川さんと歩いてるの?春乃、高岸くんとこ行くよ!」

そう言って、あたしの腕を引っ張る由紀ちゃん。

「えっ?!やだ!」

「なんで!どういうことなのか、ちゃんと聞かなきゃ!」

「いいの・・・そんなこと聞いて・・・あたし・・・嫌われたくないの・・・」

俊ちゃんにやきもち妬きだって思われたくなかった。
ウザいって思われたくなかった。

「いいのって・・・春乃、全然いいと思ってないでしょ?」

そう言った由紀ちゃんに、あたしは涙を流しながら、

「いいの・・・」

と、ずっと言っていた。
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