好きだと言えなくて

「は？何言ってんの？」

「だからぁ、田中春乃ちゃんが来てるの！」

春乃が？な、なんで？

「あたしが学校から拉致ってきちゃった♪あんたが何回も寝言で呼んでたから♪」

ウソだろ・・・

その時、俺の携帯から春乃からのメールを告げる着信音が鳴った。
慌てて携帯を開いた俺。

「俊ちゃん、あたしのせいで熱が出てしまったみたいで・・・ごめんなさい。それと、彼女があたし達のこと勘違いしてるみたいだから、あたし達はなんでもないんだって、ちゃんと言ってあげて・・・大事にしてあげてね・・・」

彼女？勘違い？何のことだ？

俺は携帯を閉じてふらふらした足取りで、下へ降りて行った。
そこには誰もいなかった。

「あれ？春乃ちゃん、帰っちゃったのかなぁ？」

「俺、ちょっと行ってくる！」

そう言った俺は、春乃を探しに外へ飛び出した。