好きだと言えなくて

しばらくして離れた唇。

「俊ちゃん・・・」

あたしがそう呟くと、俊ちゃんはあたしを思い切り抱きしめて言った。

「春乃・・・好きだ・・・もう俺から離れるなよ・・・」

「俊ちゃん・・・あたしも俊ちゃんが好き・・・ずっと好きだったよ・・・」

やっと言えた・・・やっと俊ちゃんに気持ち伝えられた・・・

「春乃・・・ごめんな・・・俺、春乃の気持ちが知りたくて黒川と出掛けたり、別れようって言ったりしたんだ。でも、めちゃめちゃ後悔した。俺は春乃がいなきゃダメなんだよ・・・」

そう言って、またあたしを強く抱きしめる俊ちゃん。

「春乃・・・さっきので春乃に風邪移しちまったかも・・・ごめんな・・・でも、もう一回移してもいいか?」

そう言われて、黙って頷いて目を閉じると、さっきよりも優しいキスが降ってきた。
何度も何度も降ってくるキスに、あたしは心も体もとろけてしまった。
< 68 / 105 >

この作品をシェア

pagetop