好きだと言えなくて

家に着いてからも、春乃にそばにいてほしくて・・・

「春乃・・・一緒にいてほしい・・・」

なんて言って、俺は春乃を抱きしめた。
俺って、つくづく勝手なやつだと思う。
春乃に、まだ好きだって気持ちを伝えてもないのに・・・
なのに春乃は、

「わかったから・・・俊ちゃん、とりあえず着替えてベッドに横になろう?」

と言って、俺を部屋まで連れて行ってくれた。
そして、キッチン借りるねと言った春乃は、しばらくしてたまご粥と薬を持って来てくれたんだ。

「俊ちゃん、お粥食べて薬飲んで。」

「ん・・・春乃が食べさせて・・・」

こんな俺のわがままにも、ちゃんと応えてくれた春乃は、たまご粥を食べさせてくれて、その後薬も飲ませてくれた。

「春乃・・・帰るなよ・・・」

そして、そんなことを言って春乃の手を握ったまま、俺は眠ってしまった。




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