好きだと言えなくて

廊下に出たあたしと由紀ちゃんが見たのは、女の子たちに囲まれてる俊ちゃんの姿だった。

「高岸く~ん、もう大丈夫なの~?」

「高岸くんの執事姿見れなくて、ホント残念だったんだから~!」

「まだ調子悪いなら、あたしが看病してあげる~!」

そう言いながら、女の子たちが俊ちゃんの腕にその腕を絡めたり、俊ちゃんの体をベタベタ触る。
それを拒むこともしない俊ちゃんに、あたしはイライラしていた。

「やだ・・・」

そう言ったあたしに、由紀ちゃんが、

「あたしの彼氏に触んないで~!とか言ってきなよ!」

と言ったけど・・・

「無理・・・」

そんなこと、出来ないよ・・・

そう思って俊ちゃんを見ると、一瞬目が合ったのに、俊ちゃんはその視線を逸らしてそのまま女の子たちと教室へ入って行った。

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