好きだと言えなくて
俊ちゃん・・・なんで何も言ってくれないの?
俊ちゃんの彼女は、あたしなんだよね?
その日は一日中憂鬱だった。
昨日まで俊ちゃんとずっと一緒にいたのに・・・
いっぱいキスだってしたのに・・・
それが全部夢だったんじゃないかって思うほど、俊ちゃんの態度が違ったから・・・
そんな気持ちのまま放課後になった。
今日は帰りに俊ちゃんの家に行くことになってたのに・・・
ホームルームが終わって廊下に出ると、朝と同じ光景が広がっていた。
俊ちゃんの腕に自分の腕を絡めた女の子や、俊ちゃんの顔を熱い目で見つめながら話す女の子に、俊ちゃんは囲まれていたんだ。
やっぱりそれを拒むような様子を見せない俊ちゃん。
気づいたら、あたしの頬には涙が流れていた。
もう・・・やだ・・・
「春乃!待てよ!」
俊ちゃんが呼び止めるのも聞かず、走ってその場を離れようとするあたしを、うしろから抱きしめた俊ちゃん。