好きだと言えなくて

「春乃、なんで何も言わねぇんだよ!何も言わねぇで、なんで泣いてんだよ!」

あたしを抱きしめる腕に力が入る俊ちゃん。

「嫌だったよ・・・俊ちゃんが他の女の子に触られたり仲良く話したりするの見てるの、嫌だった。でも、やきもち妬いてウザいって思われたくなかった・・・だから、我慢しようと思ってた・・・でもやっぱり嫌なの・・・俊ちゃんにはあたしだけを見ていてほしいの!」

「春乃・・・ちゃんと言えよ・・・俺、春乃がやきもち妬いてくれんの待ってた・・・春乃が俺のこと好きなんだって、実感したかったんだよ・・・」

そう言った俊ちゃんは、そのままあたしを振り向かせて、優しくキスをしてくれた。

「きゃーっっ!!高岸くん!やめてーっっ!」

そんな女の子たちの悲鳴が聞こえて、唇を離した俊ちゃんは、女の子たちにこう言った。

「俺が好きなのは春乃だけだから!男も女も、春乃に手を出すやつは、絶対俺が許さねぇから!」

そう言った俊ちゃんは、そのままあたしを連れ出した。
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