好きだと言えなくて
放課後になった。
今日は春乃が家に来る約束をしていたから、春乃を迎えに春乃のクラスに行こうとした俺を、クラスの女たちが取り囲んだ。
腕を絡めてきた女の腕を振りほどこうとした俺は、春乃がこっちを見てることに気づいた。
春乃の気持ちを確かめたかった俺は、その腕を振りほどかず、春乃に見せつけた。
春乃がやきもちを妬いてくれるのを待っていた俺が見たのは・・・
涙を流す春乃の姿だった。
俺と目が合った春乃は、涙を流しながらその場から離れようとしていた。
「春乃!待てよ!」
俺はそんな春乃をうしろから抱きしめて言った。
「春乃、なんで何も言わねぇんだよ!何も言わねぇで、なんで泣いてんだよ!」
すると、俺の腕の中で春乃が言った。
「嫌だったよ・・・俊ちゃんが他の女の子に触られたり仲良く話したりするの見てるの、嫌だった。でも、やきもち妬いてウザいって思われたくなかった・・・だから、我慢しようと思ってた・・・でもやっぱり嫌なの・・・俊ちゃんにはあたしだけを見ていてほしいの!」