正しい殺人事件

「君は奈々ちゃんの財布を拾って、こう思った、きっと。あ、あの人の持ち物が手に入った。おまじないができる、ね。財布を吊すのはまずいから、代わりにレシートを吊そうと思った。違うかい?」

少年は、何も言わない。

「そして君は、見つけた。奈々ちゃんの蛇の抜け殻を。好きな人の財布になんだか小汚い物体。君は、つい、捨ててしまったんじゃないかい?」

「違う!…、ゴミかと思ったんだ。だから、その、掃除の時に入ったのかもしれない…って」

「でっかいごみだなぁ」
「イジメられてる、って発想の方が自然じゃないかしら」
ずん、と黙り込む少年。

「…、先輩、蛇嫌いらしいから」

「君は、とってあげよえと思っただけなんだよね」
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