正しい殺人事件

「そういやさ、先輩の話聞いたか?」

Aは、頬にチーズケーキDXなるもののクリームを付けながら言った。

くそう、1番高いの選びやがって。

「多分聞いてないわ。何なの?」

「付き合ったらしいぞ、例の少年と」

「はぁ?!」
どうして、と驚愕の表情を浮かべるB江。
あ、イチゴが落ちた。

「なんかさー、あれからストーカー行為が過激化したらしくてさ、先輩、ノイローゼになったらしいぞ」
がぶり。
いい食べっぷりだな、A子。
一口がでかい。

「あー、先輩もお気の毒様ねぇ」

「まあなぁ…」

「その先輩、ストーカー君といい、あいつといい、変な奴にばっかり好かれるわねぇ」

「え、あいつも好きだったのか?」

友人達は幼なじみのことを、あいつ、と呼ぶ。



彼に、
 名前はないから。
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