正しい殺人事件
「はい、ごちそうさま。私、今日はお花のお稽古あるから先帰るわね」
畳んだクレープの包みを突き出しながら、そんなことを言うお嬢B江。
捨てておきなさい、ということか?!
「んじゃ、私も帰るか。道場の手伝いするって言っちまったし」
ぐしゃっと包みを潰し、B江のゴミに重ねてくれるA子。
おい、二人とも早いぞ!
私はまだ食べているんだ!
友達が食べ終わるまで待てないのか!?
「奈々ちゃん、お先~」
「じゃあな。奈々」
「おい、A!B!待つ気はないのか?!」
「「うん」」
ぬおぉ!即答かよ!
「バイバーイ」
「ごちそーさん」
キャハハと笑う二人が眩しいぜ…
はぐ、もぐもぐ…
あぁ、キャラメルバナナよ。
君は素敵だ。食べられるまで待っててくれる。
うん、大好きだ。
あんな薄情者達より、愛してるぞ!
…はぁ、寂しいねぇ。