正しい殺人事件
「奈々、手、止まってる。」
「また変なこと考えてるんでしょ」
変とは失礼な。
私の高尚な思索をじゃましやがって。
「ほい、終わった終わった。早く教室に帰ろーぜ」
おい、A。雑巾投げるな。
「はいはーい。あ!私中庭寄りたい!」
「なんでだ?あそこは靴汚れるから、行きたくないんだが…」
「恋のおまじない、知らないのー?」
「あぁ、笑いに行くのか。夏休み前だから多いだろうな」
友人Aにつづいて友人Bまでもが雑巾を放り、走り去る。
「待て、友人A!友人B、雑巾は片付けろ!」
「奈々ちゃんよろしくー」
「先行ってんなー」
「でねー、相手の物をなんでもいいから1ヶ月、木に引っ掛けてねー」
「そういや、前バナナの皮引っ掛かってたな。あれもか?」
「それは、違うでしょ」
笑いあいながら、小さくなっていく彼らの後ろ姿に復讐を誓う。
くそぅ、覚えてろよ!