正しい殺人事件

存在は、認められている。
存在は、望まれていない。


奈々ちゃんが小さい頃に作り出した、別人格。
名前を持たない、僕という幼なじみ。

痛くなったら助けてくれる存在。
痛みを肩代わりしてくれる存在。

自分の気持ちを全てくみ取ってくれる存在。
自分のことを無条件に愛してくれる存在。

奈々ちゃんが眠っている間に、僕が痛みを引き受けてあげる。
奈々ちゃんの代わりに、僕がみんなの名前を覚えてあげる。
奈々ちゃんがしんどくなったら、僕が全部背負ってあげる。


奈々ちゃんが、奈々ちゃんのために、僕を作り出したのだから。
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