正しい殺人事件

「落とし物取りに行く、だ?」
「は、はい」
「そうねー。つまらないわねー」

「友人B。冷たいぞ、刺さったぞ。」
「だって友人Bだもの。私なんてあなたにとってはただのモブキャラなのね」

嘘泣きがやけに上手いな、友人B。

「そんな大事なもん落としたのか」
「そう、大事。超大事。ほんと大事。むしろ事件」
「なに落としたのー?」

「財布」

「そりゃまずいな」
「でしょ!」
「そうかなー」

おい、友人B。
お前はずっと天然お嬢様だと思ってたが、訂正するぞ。

お前は腹黒女王だ。

「だって、奈々ちゃんの薄っぺらいお財布なんて。なんの価値があるの?」
「待て、いつもの財布じゃない。」

そうだ。いつもの500円あるかないかの小銭入れではない。

「なんだ?バイト代でも貰ったばかりだったのか」

「奈々ちゃんバイトはクビになったよね、先月」
「違う、クビじゃない、自主的に辞めたんだ。自主的に。…そうじゃない。今日の財布には入ってたんだ。」

「何が?」



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