桜姫
トトトと廊下を走る音が聞こえて、襖に目をやると、ガラッと勢いよく開いた。
「総司~飯ーー…
桜羅……」
平助が襖から顔を出して、私を驚いた様に見た。
『……はよ』
「……え?ぁ、ぉはよ…ぅ?」
きっと、今は夕刻だろう。
日が傾いて当たりは橙色染まって居るから。
だから、平助は疑問符をつけたんだ。
それに少し笑ってしまった。
「てか……
ええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?」
平助の叫びはバカでかくて私と総司は耳を塞いだ。
その叫びは屯所中に響き渡ったのか、この部屋にいくつかの足音が向かって来る。