桜姫
ーーーーーーっ‼
背中に鋭い何かを感じて振り返る。
だが、何もなく闇が続いているだけ。
「…桜羅?なにしてるんですか」
総司は不思議そうに桜羅を見ながら歩みを止める。
『……何でもない。気のせいの様だ』
桜羅は胸によぎった少しの不安を押しのけて隊務に戻る事にした。
「…いやぁぁぁぁ‼」
突然女の人の断末魔の様な叫びが横の裏路地から聞こえた。
私と総司は目を合わせて叫びの上がった路地裏に滑り込む。
暫く行くと、鉄の錆びた臭いが立ち込める。
私は顔を歪めながらちょっと開けた場所に出ると、一目でわかる程めった刺しにされた女の遺体があった。
それに目を伏せながらあたりを見回す。