桜姫




特には何も無かったが、総司は青い顔をして女の遺体を見ていた。



『…総司?』


「こ、れ…………」


総司の指差したモノは、私も目を見張った。




そこにあったのは





大きな穴が首に二つ、空いていた。








その異様な光景に隊士も黙りこくった。




だが、総司は平静を保って立ち上がった。




「…………行きましょう。



まだそこらへんに居るかもしれません」



総司はまた歩き出したので、桜羅と隊士も後に続いた。



だが、その日はそれきり、叫びどころか乱闘でさえ無かった。




< 215 / 245 >

この作品をシェア

pagetop