桜姫
「…………そうか…」
土方は低い声で唸った。
『…土方、この世には何か不思議なモノがあるモノか?』
桜羅は呟くような小さな声で訪ねた。
「そりゃぁ、居るだろう。
幽霊だって俺達人間に見えねぇだけでいるさ」
土方から幽霊などという非現実的な言葉を聞き、桜羅は噴き出した。
「なっ…わ、笑うな‼」
『すまんっ…あはは……っ…』
「〜〜〜〜っ…桜羅ぁぁぁあ‼」
土方は顔を真っ赤にさせながら立ち上がった。
桜羅はソレを見ると立ち上がりざま走り去った。
『おーにさんこーちら手ーの鳴ーる方へー』
「面白そうな事やってますね」
たまたま日向ぼっこしてた総司に会い、足を止める。
『何読んで居るんだ?』
桜羅は珍しげに総司の持っているモノに目を向けた。
「コレですか?
豊玉俳句集ですよ」
「お前か総司ぃぃぃいい‼」
「あ、見つかった」
『お前も地獄鬼ごっこやるか?』
「はい♪」
2人は走り出した。
笑いながら。
その様子を駆け回って居る内に全員集まった。
平助、左之、新八、山南さん、近藤さん、山崎。
みんな微笑ましくその三人を見て居た。
この笑い声がもう直ぐ無くなるのを
誰も予期しなかった。
何もしらなかった。
あの頃の皆は。