桜姫
『……何者だ。さもなくば斬るぞ』
桜羅はさっと鯉口をきるが、男は薄らと笑うだけであった。
「…舐められて居るんでしょうか、あれは」
ひくひくと頬を引き攣らせながら総司はブルブルと拳を震わせていた。
「……お前は何か知って居るのか」
玖羅は1人冷静にその場を見ていたが、口を開いた。
男は玖羅を見てニヤリと笑った。
「おや、お前こそがまがい物か?
風桜家の血筋でもない、お前こそが」
男のことばにびくりと反応を見せる玖羅に少しの疑問が出た。
『…風桜…………』
桜羅は自分の手に添えたか刀をじっと見た。
ーー風桜舞ーー
どくん。
何かが胸に引っかかった。
微かに震え出す手は刀を強く握る。
『………ふ、うさ…け…?』
桜羅の耳にはそればかりが木霊する。
1つの記憶が頭に浮かぶ。