桜姫


雨の酷い夜、玖羅と寝たが私だけ起こされてお母さんとお父さんに呼ばれた。


「ーーーこの刀をお前に託そう」



お父さんの優しげな瞳が小さく揺れる。


何かがいつもと違って、戸惑いを隠せなかった。


何かを予期する様にお父さんとお母さんは死ぬ前にこの、




風桜舞を託された。


私が刀を使う時など来るのか。


何故私だけなのかも解らなかった。



でも、この刀を託した意味。






このオトコは知っている。





私は男を睨みつけた。




「…知りたいと目が語っているね」


クスクスと笑いながら私を見下す。



その様子に苛立ちを隠せずに怒鳴り散らした。



『何故この刀を知っている!?』




それでも男は笑うだけ。





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