桜姫
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次の日の夜の静けさが訪れ、桜羅は山を突き進んで居た。
『…………』
風桜。
風桜舞。
治癒能力。
桜羅の中には自分への幾つもの疑問が渦巻いていた。
私は誰だ?
私は何故ここに居る?
私はどうして
1人なんだ?
色々な自分への疑問が脳にへばりついていく。
戸惑いを隠しながらも山奥を進んだ。
…………何刻か進んだ頃。
物騒に茂る木のぽっかりと空いた所に
城は存在した。
今時見た事がない西洋式の屋敷。
ソレに違和感を感じ、そっと息を潜めた。
「…………何をしておるのだ。
サッサと此処まで来い」
1人の男の低い声が頭に痺れる様に伝わってくる。
扉を1つ見つけ、ソレをそろりと開けると、ギギッと嫌な音を立てる。
『…………』
嫌な予感しかしないのは気のせいなのだろうか。
だが、そのまま何故か解らないが一直線にある部屋へと足を運んだ。