桜姫
「両者構えて……」
沖田とは少し違い、落ち着いた感じで審判をする土方。
「…始めっ」
土方の合図では、どちらとも動かない。
………隙が無い…
少年は少し目を鋭くし、面白そうに口角をあげた。
「……来ないならこちらから行きますよ」
沖田の、さっきのおちゃらけた感じからは想像も出来ない程真剣な面持ちに、少年は目を鋭く光らせ、隙を見計らった。
そんな事をしていると、沖田は地を蹴り、木刀を振り下ろしてきた。
その木刀を軽々と受け流す。
華奢な小さい細い体のどこにそんな力があるのか、不思議でならない。
体格も、174cm程の沖田と、160cmあるかないかくらいに小さい少年が、互角位なのだから。